こんにちは!パーソナルジムMONREVEの宇井です!
先日お客様の小学生の息子さんから、今もうさぎ跳びをやっているという話をお聞きしました。
うさぎ跳びは約40年前に起きた事件をきっかけに、スポーツ医学の観点から問題視されるようになりました。
うさぎ跳びによる事件
1978年(昭和53年)の夏、静岡県の中学野球部員がコーチの指示で約2kmのうさぎ跳びをさせられた結果、15名が腓骨(すねの骨)骨折、6名が肉離れを起こすという事件が発生しました。これをきっかけに、文部省(現在の文科省)がうさぎ跳びの禁止を検討すると発表し、うさぎ跳びが怪我の原因になることが定説となっていきました。
現代のスポーツ医学がはっきり示しているのは、うさぎ跳びは特に成長期の子どもにとって、トレーニング効果よりも、身体に深刻なダメージを与えるリスクの方が大きい運動だということです。
この投稿では、うさぎ跳びが子どもの身体にどんな悪影響を与えるのか、上述した腓骨骨折以外の懸念点をできるだけわかりやすく説明します。
そもそもうさぎ跳びとは
うさぎ跳びは、両手を背中で組み、深くしゃがんだ状態でぴょんぴょんと前に跳んでいく運動です。

人間の膝は、深く曲げれば曲げるほど、膝を支える筋肉の力が発揮しづらくなる構造をしています。つまりうさぎ跳びは、この「膝の筋肉が最も働きにくい状態」で、何度もジャンプさせる動作です。
YouTubeには、
「うさぎ跳びは、正しくやれば太ももやアキレス腱を鍛えられる」
と紹介されている動画もあるようですが、その目的であればより安全で効果的な方法は別にあります。
身体への影響を部位ごとに解説
① 膝関節 ── 半月板および関節軟骨へのダメージ
うさぎ跳びでは、膝を深く曲げた状態でジャンプと着地を繰り返します。
研究によると、深くしゃがんだスクワット動作だけでも、膝の関節には体重の約6〜8倍もの力がかかることが示されています。この体勢にジャンプが加わるうさぎ跳びでは、それをさらに上回る衝撃が繰り返し膝に加わると考えられます。
これにより傷みやすいのが、膝のクッション役を担う半月板と、関節の表面を覆う軟骨です。半月板および関節軟骨の血流が乏しい領域は自己修復能が極めて低いため、将来的に膝の痛みや変形性膝関節症につながるリスクがあります。
また、深く曲げた姿勢では膝のお皿(膝蓋骨)が太ももの骨(大腿骨)に強く押しつけられ、お皿の裏側の軟骨にも大きな負荷がかかります。
② 膝のすぐ下の骨 ── 「オスグッド病(成長痛)」を引き起こすリスク
うさぎ跳びが、成長期の子どもにとって特に危険な理由がここにあります。
膝のお皿のすぐ下には、「脛骨粗面(けいこつそめん)」と呼ばれる、すねの骨の出っ張りがあります。この出っ張りには、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)~膝のお皿(膝蓋骨)~靭帯(膝蓋靭帯)という、主に膝を伸ばすための組織が付きます。

うさぎ跳びのように、深くしゃがんだ状態で細かく跳ぶ動作を繰り返すと、この腱が骨の出っ張りを何度も引っ張り続けます。
骨がまだ成長途中にある子どもは、この引っ張りに耐えられず、骨の端(成長軟骨)が傷ついたり剥がれたりする恐れもあります。
これが「オスグッド・シュラッター病(オスグッド病)」です。膝のお皿の下が腫れて痛み、骨が出っ張ってくる病気で、スポーツをしている子どもの約21%に見られるという報告もあります。
重症化すると骨の変形が残り、大人になっても正座ができないというような後遺症につながることがあります。
女の子は8〜12歳頃、男の子は12〜14歳頃が、身長が急に伸びる時期と重なり、骨がとても傷みやすい状態となるので、特に注意しましょう。
③ 腰 ── 背骨の間のクッション(椎間板)へのダメージ
うさぎ跳びの姿勢では、お尻がぐっと後ろに傾き、腰が丸まった状態になります。
この状態で動き続けることは、腰痛の大きなリスクとなり、腰椎椎間板ヘルニアに繋がる可能性もあります。
背骨と背骨の間には「椎間板(ついかんばん)」というクッションがあります。腰が丸まった状態でジャンプと着地の衝撃が繰り返されると、この椎間板が後ろに向かって押し出され、腰椎椎間板ヘルニアを引き起こすことも十分に考えられます。

④ 足首 ── アキレス腱へのストレス
うさぎ跳びのしゃがむ動作では、足首が深く前に倒れ、アキレス腱にも強い張力が繰り返しかかります。これにより、アキレス腱炎やアキレス腱周囲炎といった痛みを引き起こす原因になります。
特に成長期の子どもには、かかとの骨にも成長していく骨端線(成長軟骨)があり、この物理的に弱い部分にアキレス腱の張力が繰り返しかかることによって炎症が起きる「シーバー病(踵骨骨端症)」のリスクも跳ね上がります。

まとめ ── より効果的な選択をしよう
今回はうさぎ跳びをテーマとしましたが、運動だけでなく、食事や睡眠など、全てに共通して言えることは、
「より効果的な選択をしよう」
ということです。
うさぎ跳びに関しては、得られる恩恵よりも、身体に対しての悪影響を及ぼすリスクの方が大きい運動といえるため、選択すべきではありません。
試合中しゃがんでいる野球のキャッチャーだとしても、うさぎ跳びを練習に取り入れる意味はありません。
この投稿によって、一人でも多く方が健康な身体で長くスポーツや趣味を楽しむために、日々のトレーニング内容や生活習慣を見直すきっかけになれば幸いです。
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今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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■ 参考文献
1. ウサギ跳び – Wikipedia(出典:読売新聞「中学野球部の15人 ウサギ跳び集団骨折 静岡 夏休みモーレツ特訓」1978年9月9日/「ウサギ跳び禁止検討 ―骨折で文部省―」1978年9月10日)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウサギ跳び
2. Singh A, et al. “Estimation and Comparison of Knee Joint Contact Forces During Heel Contact and Heel Rise Deep Squatting.” Indian Journal of Orthopaedics, 2022.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9880086/
3. Kujala UM, Kvist M, Heinonen O. “Osgood-Schlatter’s disease in adolescent athletes. Retrospective study of incidence and duration.” American Journal of Sports Medicine, 1985.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4025675/
4. de Lucena GL, et al. “Incidence and management of Osgood–Schlatter disease in general practice: retrospective cohort study.” British Journal of General Practice, 2022. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8869186/
5. Smith JM, Varacallo MA. “Sever Disease (Calcaneal Apophysitis).” StatPearls, StatPearls Publishing, 2024. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441928/

